アパレル系では毎年決まってバーゲンセールを行う時期があります。クリアランスセールであるとか、季節のセールなどが春や秋に決まって行われています。年始の初売りなんて言うのもありますよね。アパレル業界ではどうしてバーゲンセールが毎年決まって行われるのでしょうか。

最近ではリアル店舗だけでなくECショップでもバーゲンセールが行われていますが、その理由を考えてみましょう。

バーゲンセール秘密とは!~経営学から見ると重要な戦略だった

小売店がバーゲンセールを行う2つの理由

「安売りつながり」ということで、前回のエントリーから続いている安売りのお話しです。安売りの一つであるバーゲンやセールですが、売上が上がるという単純な理由から行われています。バーゲンで1割2割引きなどを行うと売上が必ずと言っていいほど上がります。たいていバーゲンでは客数が増えます。1着あたりの金額は落ちますが、場合によっては客単価も上がり、売上自体もアップします。

例えばですがバーゲンで20%オフをするアパレルショップが百貨店に入っているとします。普段は客単価15000円で客数が10人くらいだとした場合、2割引きにすると客数が増えます。仮に20人に増えるとした場合、客単価は2割引きなので12000円に落ちますが、売上全体で24万円にアップするというわけです。客単価や利益は落ちますが、売上を確保することがバーゲンセールでは行えるのです。

ただ、売上が上がるからと毎回バーゲンを行うというのは問題があります。なぜならその値段に多くの人が慣れてしまうからです。多くの人が慣れてしまった場合、元の値段に戻すと顧客の離れていく可能性が大きくなってしまいます。大阪ではスパワールドという施設がありますが、今1000円キャンペーンをずっと行っています。元々は3000円くらいの入館料なのですが、3000円に戻してしまうと人が来ないことがわかっているからです。なので年がら年中1000円キャンペーンなのです(夏休みは少し高めの1200円のようですが)。

ちなみに日本ではありませんがアメリカでは毎日バーゲンセールということを標榜している世界一の小売店があります。それがウォルマートです。ウォルマートはEDLPという戦略をとっていて、エブリデイロープライス(=毎日安売り)でいつ行っても安く購入できるという、圧倒的な価格優位の戦略を打ち出して世界一の小売店になっています。もちろん労働問題などを引き起こすこともあり完璧ではないですが、バーゲンセールというのはウォルマートもスパワールドもその他の小売店も売上が上がるからやっているのです。

自分の事業にバーゲンを取り入れる方法

自分の事業にバーゲンを取り入れる方法

「では自社の事業にもバーゲンセールを取り入れよう!」と思われる方もいるでしょう。定価に戻した場合にお客さんが離れないように気をつけてバーゲンセールを行うためにはどうすればいいでしょうか。中小企業でも出来るその方法として幾つかの方法をご紹介しましょう。

バーゲンセール方法その1:モニター募集

一般のお客さんではなくモニターとして募集をします。モニターであれば定価とは別に、モニター価格を設定して提供することができます。例えばエステサロンであればモニターさんは半額で、その代わりそのお客さんの声をウェブサイトに反映したり、チラシに載せたりなどもできるでしょう。こうすれば価格を下げる必要はなく、価格を元に戻すときの顧客離れも気にしなくてもかまいません。

ホームページ作成やコンサルティング、化粧品などもモニター価格という方法が使えます。標準の値段に戻すことを重視している人、心配している人にはオススメの方法です。

バーゲンセール方法その2:バンドル商品

バンドル商品というのはいわばセット商品です。何かと何かを一緒に買ってもらうことによってお得にするという方法です。例えばスーパーなどで行われている「アイスクリーム一つは100円+税が3個セットで248円+税」というような価格設定です。一つの商品を値引きするだけでは客単価が下がりますが、この方法なら客単価を上げることもできます。

商品一つ一つの値段を下げるわけではなく、かつセットにすることでお得感を出すことができるのでついで買いもしてもらうことが出来ます。日常的に小売店が行っているものですから、高価はテキメンと言えるでしょう。

バーゲンセール方法その3:フロントエンド商品を作る

フロントエンド商品とは簡単に言えば顧客を引き寄せるための目玉商品のことで、一番典型的なものがスーパーの卵の特売です。スーパーの卵の特売は下手をすると赤字かもしれないようなものですが、卵と合わせていろいろなものを合わせ買いさせることによって売上を確保します。フロントエンド商品が目立つことによって客数が増えるというわけです

フロントエンド商品はある意味で値段を安くさせるわけですが、全体的に値段を下げるセールとは違います。セールは全商品対象の場合がほとんどですが、フロントエンド商品は一部商品だけの値段を下げます。いわばフロントエンド商品が犠牲になって、その他商品の標準価格を守っているとも言えるかもしれません。

ECサイトにオススメはフロントエンド商品

この中でも一番取り入れやすいものとしてはフロントエンド商品を作ることでしょう。安いフロントエンド商品を作り、そこから単価の高い商品を買ってもらうようについで買いを促すようにしましょう。ECサイトには特にオススメなのですが、楽天などのモールショッピングでは値段が安いものが買われやすいのでフックにできます。

例えば有名な店舗であれば爽快ドラッグやケンコーコムなどがあります。基本的に薬局なので薬だとか生活雑貨がメインになっているんですが、それ以外にも食品や水などを取り扱っています。特に水についてはかなり安く購入することが出来るようになっており、この水がフロントエンド商品に設定されています。

水は買う人が多いものですし、そこから「あ、そういえば胃薬が足りなかったな」というように、ついで買いを促そうと考えているというわけです。リアルの薬局店舗も水やお菓子を前面に出して、それらをフックに買い物する客を増やそうとしています。薬局にとってのある意味で戦略的商品になっている、というわけです。

在庫処分のためのバーゲンセール

さて、実はバーゲンセールと言うのは売上を上げるということも狙っていますが、アパレル系のお店だけではありません。最近はいろいろな業界でも福袋がありますが、これもバーゲンセールの一つです。売上を上げること、そして在庫を処分することを考えているのです。在庫処分は非常に重要です。

しかしなぜ在庫を処分するのでしょうか?そのままずっと残していてもいい、腐らないようなものでも在庫処分をします。その理由は2つがあげられます。

  1. 季節や売り時を過ぎた商品をさばくため
  2. 売上原価に組み入れるため

一つ目の季節や売りどきを過ぎた商品をさばくためというのはわかりやすいと思います。夏をすぎてしまえば夏服は売れなくなりますし、流行りものは流行りが過ぎてしまえば買われなくなります。そこで早めに安売りをしてでも売り切ってしまって売上に加えられるならと、バーゲンセールや福袋で販売するのです。

二つ目は経営・財務的なテクニカルな話ですが、売上原価に換算できるという点があります。税務上、売上は販売された時に計上されますが、仕入れや売上原価というのも実は販売された時に計上されます。1000円で20個仕入れた商品が2000円で10個売れた場合、売上20000円から仕入れ20000円を引けば、現金として残るのは0となります。

しかし税務上は10個分の仕入れにしか換算されません。つまり売上は20000円ですが、仕入れは10個分の10000円だけが計上されます。そして利益が差し引き10000円になるのです。税金計算の時に利益を減らしたいという企業・個人にしてみれば、安くてもどんどん売って原価に組み入れていき、利益を圧縮したいという考えがあるというわけです。

また在庫が多いと、在庫管理の手間が増えたり、倉庫を借りている時には在庫の管理料が高くかかったりします。ですので、出来る限り在庫を減らしたいためにバーゲンセールを行うという理由もあります。

まとめ:バーゲンセールは単純な安売りではない

まとめ:バーゲンセールは単純な安売りではない

バーゲンセールは非常に奥深く、実は税務上在庫を圧縮したいとか倉庫の管理費を削減したいとか、いろいろな理由があって行われているのです。もちろん売上を上げるということも重要な施策の一つですが、バーゲンセールがなくても売上は十分だろうと思えるような企業でも、やはり別の理由でセールを行うこともあります。

安売りはよくないと言われることも多いですが、安く売ることで経営を円滑化することもできるし、コストを圧縮するなどもできるのです。単純な安売りではない、かなり奥深いのがバーゲンセール、というわけです。