アウトロードではNPO支援の一環として、Yahoo!の行っているCSR活動の一環であるLinks for Good、Googleの行っているGoogle AdGrantsの運用代行や解説、アドバイスなどを行っています。ブログでも両者の使い方を紹介した記事を書いています。
初期設定の方法や運用の基本的な考え方は上記の記事を参考にしてもらうとして、ここではLinks for GoodとGoogle AdGrantsが一体どういう事ができて、一般的なリスティング広告とはどう違うのか?などをまとめて解説します。
Google AdGrantsでできること
まずはGoogle AdGrantsについて解説します。Google AdGrantsはGoogleのリスティング広告である、GoogleAdWords内で広告を出せる仕組みです。無料で決まった金額まで広告を出すことができます。
AdWordsについてはできることはたくさんありますが、AdGrantsの場合はかなり機能が制限されています。一般的なAdWordsに比べるとかなり制限されているので、企業とおなじ感覚で運用するのは難しいといえるでしょう。
Google AdGrantsで制限されていること
まずGoogle AdGrantsで制限されていることをまとめると下記のようになります。
- 検索連動型広告のみ出稿可能
(ディスプレイネットワーク広告などは不可) - Google内での検索のみ出稿可能
(提携先検索エンジンやyoutube、マップなどには出稿不可) - 上限入札単価は2ドルまで
- 1日の予算は329ドル
- 出稿できるのはテキスト広告のみ
ということになります。
まず検索連動型広告のみの出稿であり、テキスト広告しか出稿できず、グーグルの検索のみに表示されます。これはつまり何らかの検索をGoogleで行った時に検索キーワードに応じて広告が出稿されるということです。例えば「ボランティア」とGoogleで検索した時に、広告が出稿されます。
Google検索はいろいろなところで使われていますが、Yahoo!の検索には表示されませんし、youtube内での広告にも出稿されません。またよくブログなどで画像広告が出ていたりしますが、これも出稿されません。また、テキスト広告でもディスプレイネットワーク広告は出稿されません。
つまりGoogleで検索された時だけ広告が表示されると覚えておくとよいでしょう。
次に予算ですが1日329ドルもの予算があります。Google AdGrantsを始めた時に特に現在残高にどれだけ残っているかなどは表示されません。広告を設定すると勝手に広告を出稿してくれます。その際1日の予算は329ドル以内に設定し、入札単価も2ドル以内に設定しなければなりません。
予算がおよそ3万円強あるということで、最大の入札単価の2ドルであれば1日160クリック以上が可能ということになります。中小企業ではまずできないだけの予算ですが、入札単価2ドルが上限であり、非常に予算消化が難しいので注意してください。上位表示させるのも、難しいかもしれません。
Links for Goodでできること
一方のヤフーではLinks for GoodをCSRの一環として行っていますが、これを書いている2015年4月20日現在では募集は停止されています。また募集される可能性もありますので、まだ応募していないという方は、ぜひLinks for Goodのページをチェックしておくことをおすすめします。
Links for Goodで制限されていること
Links for GoodはYahoo!のリスティング広告の一種ですが、使える機能は制限されています。また、Google AdGrantsの場合は検索連動型広告でしたが、Links for Goodの場合はディスプレイネットワーク広告になります。特徴としては下記になります。
- Yahoo!ディスプレイネットワーク広告に出稿できる
- 広告はテキスト広告のみ
- 年間100万円の広告費(4月初めに補充される)
Yahoo!のディスプレイネットワーク(YDN)はヤフオクやYahoo!天気などのYahoo!内のコンテンツに広告スペースがあり、そこに広告を表示するものです。またYahoo!内のコンテンツ以外にも、ネバーまとめや毎日新聞などの有名サイトにも表示することが可能です(YDNのサイト一覧)。
広告を出稿するときにはYahoo!内ページでもYahoo!の提携サイトでも、広告はテキスト広告しか表示できません。ディスプレイネットワークでは画像による視覚効果が非常に強く、注意をひくことができるものですが、Links for Goodではテキストのみになります。ブランディングなども一般のYDNよりも弱くなるでしょう。
そして広告費は年間100万円となっています。年間100万円は4月になると100万円を上限に補充されます。例えば残高が30万円しか無いという時にも、4月になれば残高は100万円になります。できるだけ使い切るようにしたほうがお得と言えます。平均すると1日2700円ほどの広告費を使える事になります。
Links for GoodとGoogleAdGrantsの違い
Links for GoodとGoogle AdGrantsは両方ともにリスティング広告を利用したNPO向けのCSR無料広告ですが、同じではありません。まとめてみると下記のようになります。
Google AdGrants | Links for Good | |
---|---|---|
広告表示場所 | Googleでの検索 (検索連動型広告) |
Yahoo!コンテンツ及び YDNパートナーサイト (ディスプレイネットワーク広告) |
広告形態 | テキスト広告のみ | テキスト広告のみ |
助成される金額 | 年間1万ドル | 年間100万円 |
上限クリック単価 | 2ドル | 特になし |
表にまとめると上記のようになります。それぞれにおすすめできる目標の設定や運用方法をご紹介しましょう。
Google AdGrantsはオススメ運用方法
Google AdGrantsは広告効果としては実際に興味を持っている人に対して、広告を表示してコンバージョンを促すのにおすすめです。コンバージョンは団体によって違うかと思いますが、インターンシップやボランティアの募集だったり、フェアトレード商品を買ってもらうことなどの目標が考えられます。
検索連動型広告は一般的な民間企業が使う場合にも、セールスを目的としたランディングページと組み合わせて使う場合が多く見られます。例えば香酢やにんにく系のサプリなど、健康食品のサンプルや限定販売品を販売するページを広告で広めるパターンです。このパターンは直接の購買を狙うのに適している組み合わせです。
これと同じことがGoogle AdGrantsでも行う事ができます。セールスページの変わりにボランティア募集などの広告ゴールを設定します。そしてそのゴールを達成できるより可能性の高い広告を出すことで、広告効果を発揮します。例えば「ボランティア 地域名」などであれば、設定したゴールを達成しやすいでしょう。
できるだけゴールを明確にし、ターゲットを絞った形で運用することがオススメです。
Links for Goodのオススメ運用方法
対するLinks for Goodの場合はディスプレイネットワークでの運用になります。ディスプレイネットワークはブログを見ていた時、Yahoo!のオークションや天気などのコンテンツを見ていた時に、目に入る広告です。すなわち、コンテンツを見ている人にアピールするCMのような役割になります。
企業はブログを読んだりニュースを読んだりしている人に、頑張ってアピールするために様々な広告を出稿してきました。ネット上で話題になったものでは「私の年収低すぎ」という転職系の広告が話題になりました。広告に目を引くために工夫を凝らしているわけです。
Links for Goodもそれらの広告を同じところに出稿されるので、できるだけ目につくような広告を作らなければなりません。ただし、テキスト広告のみしか使えないという制限があるので、画像や写真を使っている一般企業よりも、不利なのは間違いありません。できるだけ目を引くキャッチコピーが求められています。
まとめ:リスティング広告以上に運用が難しい
アウトロードでも一部NPOの広告運用を代行させて頂いていますが、実感としてはかなり難しいなと感じています。理由としてはやはり制限されている中で、他の広告と争って表示し、クリックしてもらう方向に進めないといけないためです。
GoogleとYahoo!の両者に共通している点としては、セールスページのようなランディングページを新たに作れるならばいいのですが、なかなか新たにランディングページを作るというのは日本のNPOの多くが難しく感じています。そのため、どうしても広告ランクが下がってしまい、上位表示が難しくなります。
また、Google AdGrantsの場合は2ドルの入札単価上限がありますから、329ドルを1日に消化するのが非常に難しいのです。入札単価をあげられるなら簡単ですが、それができないので露出を増やしてクリックしてもらう方向に現在は方向転換しています。ただ、これも正しい運用かどうか試行錯誤中です。
NPO向けに行われているこの無料広告ですが、実際に運用してみたという情報は非常に少なく、なかなかノウハウを貯めていくのも難しい状況ではあるでしょう。しかし少しずつ改善をしていけばきっとNPO団体の運営に役立つと私は思います。